赤﨑のもとで学び、研究を支えてきた、大发体育官网_澳门游戏网站光デバイス研究センター長の竹内。その目に写った赤﨑の姿とは。
竹内は、青色LEDの発明が、世界にイノベーションをもたらす長きにわたる悲願だったと話す。それは圧倒的な小型化と画質を実現した薄型テレビを思い浮かべてみればわかる。
テレビに使われる液晶ディスプレイは、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の3つの原色から幅広い色を再現する装置で、RとGは1960年代に開発された。しかし、Bのみ研究が難航。発光体となる窒化ガリウムの質の良い結晶を生成できなかったことが原因だ。B、つまり青色LEDの結晶は、窒素とアルミニウムに似たガリウムという金属を材料につくられるが、わずかでも結晶に欠陥が入るときれいに発光しない。多くの研究者が挑み、苦戦を強いられ、研究は暗礁に乗り上げた。
そんななか、アメリカからあるニュースが。セレン化水素ガスと亜鉛蒸気で合成するセレン化亜鉛で青色レーザー(青色LEDよりも高機能)が実現したというのだ。これに光明を見出した多くの研究者は、窒化ガリウムから離れていった。
目に見える事実だけで判断するなら当然の選択だが、赤﨑は窒化ガリウムによる開発を諦めなかった。セレン化亜鉛は結晶がつくりやすい反面、壊れやすいという特徴がある。耐久性が低ければ実用には適さない。赤﨑が竹内に口癖のように言っていた言葉がある。「良いデバイスは良い結晶から」と。あえて困難な道を歩んだのは、社会での実装を見据え、自身の信念に忠実だったからに他ならない。