大学概要【2023年度実施分】橋の模型づくりを通じたPBL教育

理工学部

橋の模型づくりを通じたPBL教育
実施責任者:渡辺 孝一

本活動は,学生グループのチームワークによって橋梁模型の設計製作を行い,模型の性能,使用性,美観などの課題解決型学習を通じて,ものづくりの真の楽しさを経験します.工学知識の応用力,問題解決能力,製作過程における遂行能力を通じ,社会人基礎力を育むことを目的とします.

ACTIVITY

2023年度JSBC始動

2023/05/22

 今年もJSBC(ジャパンスチールブリッジコンペティション、通称:「ブリコン」)に向け、社会基盤デザイン工学科の3年生から10名が参加して製作活動を開始しました。
 初回ガイダンスでは自己紹介や今後の方針について話し合いました。メンバーのほとんどが製作の経験がなく、不器用ということで少し心配です。今年度は上級学年(4年生)の経験者がいないため、未経験のメンバーにより手探りで進めていきます。活動責任者の渡辺孝一教授から、作業を進める上で必要な知識を教えていただき、メンバー同士、意見を出し合いながらより良い方法を模索しています。
 「5月末を目標に工具の使い方と解析ソフトをマスターしておきたい」と意気込むリーダーの太田さんが、チームメイト全体の活用状況を把握しており、これからチームが段々とまとまっていっているのではないでしょうか。
 これから橋のコンセプトや外形、デザインなど話し合い、橋模型完成に向けて本格的な作業を進めていきます。
※ブリコンHPはこちら,http://bricom.jp/

渡辺教授から加工機械の説明を受ける様子

溶接の練習をしている様子

FEM解析を練習する様子

ルールブック2023公開、橋の設計目標が具体的に。

2023/06/06

 ようやく2023ルールブックが公開され、どのような橋を作るのか検討することができる段階に入りました。ルール開示に先立ち、指導教員の渡辺孝一教授からルールの中身をしっかりと熟読するようにと伝達されました。

 橋の製作に向けて、どのような課題があるのか、万一の失格にならないための注意点などについてメンバー全員で討議を繰り返します。今年のブリコンのテーマは「斜橋」です。文字通り、傾斜地に架ける構造が必要となります。一般的な「直橋」とは違った荷重作用に対応する橋の構造の工夫も求められます。

 こうした橋の設計条件を踏まえて、メンバーそれぞれの自由な発想から、どのようなデザインの橋にするのかを話し合いました。発想を踏まえて、FEM解析ソフトによるシミュレーションで設計照査を行いました。その結果、大まかな方針や橋の外形は決まったものの、実際に模型として作ることができるのか?が最大の課題です。

 解析による橋の外観を試行しつつ、いよいよ仮模型の本格的なものづくりがスタートします。

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解析シミュレーションの様子

手書きで橋の形状を検討する様子

解析ソフトで設計した橋の外観例

模型?設計図が完成! 次は橋の製作へ

2023/06/29

 橋の模型作成や解析ソフトAbaqusによるシミュレーションを経て、橋の設計が完了しました。
解析過程は部材の形状や境界条件を試行し、最適解を導き出すために何度も計算を試行しました。計算上であっても、部材の長さの最適化に苦戦し、ルールブックを確認しながら部材の分割方法や、立体的な部材の長さ、配置を把握し、それらが橋の強度や変形に大きく影響していることが理解できました.こうした経験を経て、橋の設計は完了しました。
 活動は次のステージに移行します.これからは、実際に橋模型の製作です.苦労した設計を再現するため、できるだけ精巧に部材を加工し、想定通りの橋を製作しようとグループメンバーそれぞれ気合が入ります.
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縮尺スケール模型を作成する様子

模型完成!

Abaqusの解析結果について議論する様子

ボール盤による加工の練習

橋の組み立て完了!予定した錘に耐えられるか試験を実施

2023/07/13

 講義の合間や土曜日を利用して,ものづくり活動に取り組んだ結果,予定どおり橋模型を「形」にすることができました.部材の誤差で思うように接合できないことや,ボルトが干渉する箇所など,問題点は山積みですが,競技で予定されている錘の載荷試験を実施し強度を確認しました.
 50kgのおもりを橋の中央,木製床版の上に載せていきます.徐々に負荷を増やし,橋の変形(たわみ)を観察しながら注意深く載荷しました.その結果,目標荷重近くまでは安定して保持することができました.しかし,目標荷重時点で橋が大きくゆがみ,崩壊寸前となりました.最終的なたわみも想定を大きく上回り,橋は横方向のねじれに軟弱であることが確認されました.
 FEMによる数値解析で想定した変形,耐力と比較して,実際の模型の挙動を目の当たりにし,シミュレーションと異なる様々な要素があり,ものづくりは,一筋縄ではいかないことを知る有用な体験となりました.つくり上げた橋の製作までの活動を振り返り,これからの改善点,橋の修復,補強を行いながら,大会本番に向けてさらに気合が入ります.
 
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ようやく完成した橋模型

試験準備の様子

錘を載せた橋を観察する様子

載荷試験後に改善点を議論する様子

目前に迫った大会本番に向けて

2023/09/05

 夏季休暇の前に製作した1号機の反省を踏まえ,部材を一新して2台目となる橋を完成させました.前回に比べ部材を接合するプレートを小型化して強度を高め,部材加工精度も向上した結果,しなやかで頑丈な橋となりました.
 大会まで残り数日となり,規定時間内に完成させるための架設練習や,チームの頑張りを紹介するプレゼンの準備を着々と進めました.
 活動に参加したメンバーには意図せず新型コロナウイルスに感染して休むことや,インターンシップに参加などの事情から思うように活動に参加できないこともありました.しかし,お盆休みの合間や隙間時間を各自で工夫して分担作業することで,何とか大会への準備が整いました.
 最終的に完成した橋の名前は「めいとらくん」.メンバーの愛着を込めて名城カラーの「えんじ色」で丁寧に塗装しました.いよいよ大会本場に向け,決戦の地である北海道室蘭市に出発します.
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初めての架設練習で苦戦

架設の効率化について話し合う

この架設メンバーで大会に挑みます

えんじ色で塗装される「めいとらくん」

JSBC2023に出場し,健闘しました!!

2023/09/27

 JSBC2023が,室蘭工業大学にて9月6日から3日間の日程で開催されました.大发体育官网_澳门游戏网站チームは6名のメンバーが大会に出場しました.今年の大会は,全国から18チーム(15大学?1高専)が集結し,150名近い学生が総合優勝をかけて競技に挑みました.競技は,ルールブックに基づいて4部門の競技で行われました.
 橋の架設(組み立て)の早さと正確さを競う架設競技,橋の設計の正確さ競う載荷競技,橋の外観デザインを競う美観競技,そして,橋を完成させるまでの過程を説明するプレゼン競技で競います.各部門の優秀な上位3チームが表彰され,それらの総合が優秀なチームが,総合優勝チームとして表彰されます.
 今年,大发体育官网_澳门游戏网站のチームは,ブリコンを初めて経験した3年生によるメンバー構成でしたが,大会競技では架設ミスなく,順調に競技を終えました.美観部門で凡打となった影響もあるなか,架設部門9位,載荷部門5位に位置づけ,総合7位という好成績で大会を終えました.
 今年度の大会は,かつてのコロナ禍の影響もなく,北海道から九州までの幅広い地域から様々な考え方や目的をもった学年の異なる学生同士が交流できました.個性的な各大学の紹介や親睦会も行われ,同世代であっても,考え方の違いがあることにも気づきました.
 大学に帰還後,現地に参加できなかったメンバーと全員で集合写真を撮影し,大会について意見交換を行いました.上位入賞したチームの強さの秘密や,残念な結果に終わった橋に関する反省点など,多面的に考察することができました.
 
※ブリコンHPはこちら,http://bricom.jp/

架設競技前の審判説明

チームの取り組みをプレゼンする様子

完成した各チームの橋を見学

全参加者による記念撮影

大发体育官网_澳门游戏网站チームメンバー

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