
8月2日土曜日、柳沢3年ゼミ12名が英語劇を鑑賞しました。
作品はアメリカの現代演劇を代表する劇作家サラ?ルール(Sarah Ruhl)の『Eurydice』(2003)。ギリシャ神話「オルフェウスとエウリュディケー」をエウリュディケーの視点から再解釈した作品で、エウリュディケーとその亡き父との親子愛が前景化されています。
柳沢ゼミでは台本を精読し、場面解釈などを話し合い、しっかりと予習した上でこの劇鑑賞に臨みました。演劇鑑賞後は、レンタルスペースで夕食を取りながら、親睦会を兼ねて感想を言いあいました。実際のパフォーマンスを目の当たりにしてみて、ルールの台本との違い、さまざまな演出や演技が台本の文字情報だけでは分からない部分をどのように補完しているかなど、議論に花が咲きました。その後、みんなでお菓子をつまみながら、映画鑑賞をしました。
一日で演劇と映画を鑑賞するという、忙しくも大変有意義なイベントとなりました。
『Eurydice』のフライヤー
台本分析
英語演劇鑑賞の事前学習として、学生たちは ①ギリシャ神話のオルフェウスの物語、?劇作家サラ?ルールについて調べ、③気になった場面、疑問の共有などをしました。
①ギリシャ神話のオルフェウスの物語
?劇作家サラ?ルールについて
『Eurydice』(Sarah Ruhl, 2003)の台本
③気になった場面、疑問の共有
英語劇鑑賞に臨む
2時間の大作でしたが、予習の成果もあり、みんな真剣に鑑賞していました。
①公演前、劇場館内にて
?公演前、劇場内にて
③公演前、劇場内にて
?公園前、劇場内にて
講演後、劇場内にて
懇親会と映画鑑賞
演劇鑑賞後は、柳沢3年ゼミ初の親睦会。
レンタル?スペースで、夕食をとりながら、鑑賞した演劇の話をしたり、お互いのことを質問しあったりと、親睦を深めていました。
その後、死別という意味で鑑賞した演劇ともテーマを同じくするイギリス映画『Still Life』(2013) を鑑賞しました。
夕食をとりながらの歓談
お菓子パーティーの準備万端
映画鑑賞
映画鑑賞
演劇鑑賞後の学生のコメント
?英語劇『エウリディケ』を鑑賞して、印象に残ったことは、ダンサーの人たちの演出です。はじめは、海を表現しているのかなと思ったら、ストーリーが進むにつれて登場人物の感情やその場の雰囲気に合わせた踊りをしていて、とても迫力がありました。一つひとつの動きがとても綺麗で、ダンサーの動きがさらに登場人物の演技を引き立たせていたと思いました。実際に劇を見て、脚本を読んで自分が想像していたものとは違っていた部分がありました。文章で読んだ時には理解出来なかった場面も、劇を見た時に理解出来たので、謎が解けていく感じがして、とても楽しく鑑賞することができて良かったです。
?事前学習を踏まえて、父親の愛を感じられる作品であったと思った。父親がユリディシーを慈しむ目や力強い声がセリフと呼応して素晴らしいと思った。特に心に残った点はユリディシーに初めて会って、彼女の名前を連呼する時に愛しさのあまりに彼女に触れようとするが、それを躊躇う部分が自分を思い出していない娘への感情表現として魅力的に感じた。もう一つは父親が川に浸るシーンで水を表現したダンサーの方一人一人とのダンスで父親の中にある記憶を手放していくという切ない表現を表しているように感じた。スクリプトでは感じづらかった登場人物それぞれのパーソナリティが色濃く出ていて、ユリディシーの強気な性格や冥界の王の子供らしさなど実際に見てわかる部分がとても多く、面白かった。
?台本を読んだ段階ではハデスは謎めいた登場人物という印象でしたが、鑑賞後は支配者然としたパーソナリティというよりは子供のように激しい感情を持つ者であり、そのため自由な面を持つユリディシーに惹かれたのだと感じました。サラ?ルールの脚本では父娘愛、恋人との愛、一方的な愛など、様々な形の愛を示しています。これらの愛から影響を受け、ときに翻弄されるユリディシーの姿を見ることは、身の回りに存在する愛がどのように働き、互いに影響しあっているかを考えるきっかけになりました。服飾が特に興味深く、冥界に来た際のユリディシーのクラシカルな白いファッションや、石たちのきらめくスカジャンやスニーカーは現代と昔が入り混じる設定とよくあっており、舞台に引き込まれる要因のうちの一つだったと思います。
?授業内で事前に台本の読み込みをした際、いくつか気になる場面を挙げたが、その多くは文字だけでは伝わりにくいユーモアが含まれていた。実際に演劇を見たことで、初めて面白さが伝わってくる場面が多かった。その中でも特に印象に残ったのは、#253からのユリディシーが自分の名前を理解できていない場面だった。とても純粋で少し子供っぽさのある無邪気な様子が伝わってきて、思わず微笑んでしまった。可愛らしさの中にユリディシーという人物の素直さや人間らしさが表れていて、面白かった。サラ?ルール版の「エウリディケ」は、ギリシャ神話を元にしながらも、現代的で不思議な雰囲気のある作品だと台本読みの時に感じた。死や大事な人の喪失などの重いテーマを扱っていながらもユーモアやダンサーの皆さんによる幻想的な踊りや演出により独特な世界観が楽しめた。
?実際に劇を鑑賞したことで、台本の読み込みだけでは理解できなかった場面や物語の流れをつかむことができた。例えばオルフェウスが書いた手紙が水を介して冥府の世界に届くシーンは、台本を見た時点ではイメージすることが難しかった。しかし実際の劇を見ると、ダンサーが腰に巻いたスカーフやスカートで踊ることで水が表現され、そのダンサーの動きに乗って手紙が届く構成になっており、自然と情景を理解することができた。今回の劇の鑑賞を通して劇の表現方法の創意工夫を見ることができた。特に鑑賞する前から台本の読み取りを行ったことでより細かい所作や表現方法の工夫に気が付くことができた。今回の鑑賞で得た着眼点を今後の物語研究にも活かしていきたい。
?今回の公演を通して場面の移り変わりが丁寧に表現されていたことがとても印象に残っています。私はこれまで、編集によって場面転換が明確にされている映像作品を多く見てきました。そのため、ロケーションや音楽に頼ることなく、人間の呼吸や動きのみで同じ舞台上にいながらもキャスト同士が別々の場所にいるかのように感じさせる演出にはとても感動しました。またこうした演出の効果もあり、事前学習の段階では「なぜこの言葉で表現したのだろう」と疑問に思っていた場面も、実際に演技を見ながら聞くことで、その言葉が思わず印象に残ってしまう言葉へと変わりました。このことから、人間の表現力の豊かさを改めて実感できる機会となりました。
?台本を初めて読んだ際は、どのように表現されるのか全く想像がつかないセリフや演出が数多くあったが、実際に見てみると驚くほど自然に取り入れられていて、非現実的な世界観を違和感なく表現できていることに感動した。また、個性豊かなキャラクターたちもとても魅力的だったが、水の流れを表現するダンサーの方々が、場面転換や物語の雰囲気を上手く表していて、彼らも欠かすことの出来ない存在だと強く感じた。登場人物それぞれの表情や仕草、指先の動きなど細かい部分まで、感情表現が成されていると感じ、セリフだけでなく体全体から彼らが感じている気持ちが伝わってきてとても見応えがあると感じた。
?今回、初めて舞台と近い距離から演劇を鑑賞したのですが、ダンサーの方が踊っているときの足音や、タイミングを合わせる息の音が聞こえることにワクワクしました。映像ではなく、間近で観る演劇の魅力を改めて感じることができたと思います。また、事前に講義でスクリプトを読み込んだ際には内容があまりつかめていなかったのですが、実際に役者の方々の気持ちが入っているセリフを聞いて感動しました。文字からであっても視覚的であっても表情や声色から得られる情報が、物語を理解する上で大切だと考えました。特に印象的だったのが、ユリディシーのお父さんが、旅立ったユリディシーの部屋を片付けるシーンです。部屋を作っていた全ての糸を外していく演出にあえて時間をかけられていることで、観ている私たちも彼と一緒に寂しさを感じさせられました。今回の鑑賞は、映画や小説だけでなく演劇から物語について理解を深める貴重な経験になりました。
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