育て達人第005回 岩崎 政次

スーパーサイエンスハイスクール3年目   6月4日には「進化しすぎた脳」の池谷さんが講義

岩崎 政次 附属高校教育開発部長

附属高校が2006年度に文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けて3年目。教育開発部長の岩崎政次教諭に、3年目の手ごたえを語っていただきました。

――SSHは全国で何校あるのでしょう。

 文科省は、将来の国際的な科学技術分野での人材育成を目指して、理数教育に重点を置いたSSH事業を2002年度から実施しています。指定高校は今年度で102校。愛知県では本校のほか、名古屋大教育学部附属、県立一宮、時習館、岡崎、名古屋市立向陽の計6校です。私立の指定校は全国で8校。中部地方では本校だけです。

――どんな思いで指定校実現に取り組まれたのですか。

 以前、私は機械科の教員でしたが、9年前、母校でもある名城大理工学部の研究室で1年間学ぶチャンスに恵まれ、高校では見えない教育手法がたくさんあることを実感しました。5年前、新たに総合学科を改組した時期に、生徒たちの意欲に応えるプログラムを作りたいという思いが、結果的にSSHの実現につながりました。若い能力のある先生たちが一緒に頑張ってくれました。

――どんなことを学ぶのですか。

 今年度から普通科にライフサイエンス、総合学科にテクノロジーと呼ばれるスーパーサイエンス(SS)コースを各1クラスずつ設け、週2日、大学の先生方にもお願いして放課後に90分の特別授業を行なっています。ライフサイエンスはバイオサイエンス特論、テクノロジーサイエンスは数理特論があり、ほかに先端科学や科学英語も学びます。1、2年目は希望者のみに随時の開講でしたが、今年度からはクラスの設置で、正規科目となりました。大学の先生方にも指導していただき課題研究にも取り組んでいきます。

――生徒たちの反応はどうですか。

 新入生対象の説明会に、今年は約700人中約220人が参加しました。昨年の倍です。生徒たちは興味ある分野になると驚くほど積極的になります。初年度に3年生で、SSHは1年しか体験できなかった生徒でも、科学研究の世界が大好きになり、国立大に進学して1年生から大学研究室に出入りして頑張っている卒業生もいます。

――6月4日には、ベストセラー「進化しすぎた脳」の著者で、東京大学大学院講師の脳科学者、池谷裕二さんを招いて今年度第1回の高大連携講座が開かれます。

 高大連携講座は全校生を対象にしたSSHプログラムです。年2回、第一線の研究者に、先端科学の概要を語っていただく企画です。初年度はトップバッターとして元文部大臣の有馬朗人先生をお招きしました。今年も7時限目を設け、200人収容の大教室と各教室のテレビ画面を通じ、2000人近い全校生徒に池谷先生のお話を聞いてもらいます。

――ユニークな研究に取り組める大型予算がつくのもSSHの魅力では。

 そうです。国内の学会発表だけでなく海外での調査や研究も体験できるようになりました。昨年はドイツに生徒10人を派遣し、ドイツの3つの力と言われる環境、薬品、車について、行政の取り組みも含め調べさせました。今年は名城大総合研究所とタイのチュラロンコン大学のマングローブ調査研究に参加させていただき、植樹体験もします。8月20日には約20人がタイに出発しますが、昨年以上に踏み込んだ体験ができると期待しています。

――SSHとして当面の課題は何でしょう。

 8月に横浜の国立大ホールでSSH研究発表があります。指定を受けた3年目の20数校がトップの座を競います。ただし、横浜での発表はいわば決勝戦。進めるのは4校だけで、まずは予選を突破しなければなりません。6月には天白キャンパスの名城ホールで出場チームを決める発表会があり、生徒たちは準備に追われています。

――科学分野での名城育ちの達人の誕生に期待がかかりますね。

 科学の分野での達人を育てるには、SSHで培った体験を生かす大学での体制づくりが必要だと思います。すでに文科省も昨年度から、SSHに接続する10大学の「理数学生応援プロジェクト」を採択しています。東京理科大、京都大、北海道大など10大学に、ぜひ名城大も続いてほしいと思います。

――附属高校の入試では今春も6878人の志願者があり、6年連続で愛知県内私立№1となりました。

 公立の滑り止めではなく、名城を第1志望に考える受験生が増えてきています。魅力がなければ6年も志願者数で県下トップが継続することはないはずです。県内私立高校で唯一のSSHに対する評価も魅力を支える一つの要素になっていると思います。

【写真】「生徒たちの意欲に応えるプログラムを作りたかった」と語る岩崎部長

【写真】「生徒たちの意欲に応えるプログラムを作りたかった」と語る岩崎部長

岩崎 政次(いわさき?まさじ)

岐阜県笠松町出身。大发体育官网_澳门游戏网站理工学部卒。 附属高校教員として数理教科を担当。SSHに指定された2006年から教育開発部長。日本教育教材学会、日本トライボロジー学会員。愛知県レスリング協会理事長。56歳。

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