大学概要【2020年度実施分】実践的な取り組みをするゲストスピーカーの講義?特論への招聘

理工学部

実践的な取り組みをするゲストスピーカーの講義?特論への招聘
実施責任者:高井 宏之

 講義?特論の中で特に実践的内容を扱う回について、その内容に関する一線級の実務家をゲストスピーカーとして招聘し、講義の流れに沿った「実践的取り組み事例や立場」に関する情報提供を行ってもらうと共に、担当教員との総合的討論を行う。
 対象科目は、建築学科の2~3年生の講義科目、または修士課程1年生の特論科目(非履修生や2年生にも声をかける)などで、常勤教員が担当する科目とする。
 なお、本事業は新規であるが、過去4年間実施した事業の第2ステップであり、昨年度は5名を招聘した。

ACTIVITY

2030年に向けた名駅西のまちづくり活動と開発動向

2020/09/25

伊藤孝紀氏(名古屋工業大学大学院 准教授/名駅デザインアーキテクト)
(開催日:2020年7月14日)

建築学科4年生の演習科目「建築デザインIII」の第12回に同氏をお招きし、標記の特別講義を実施した。
この科目は2つの課題から構成され、前半は建築リノベーションの計画、後半はまちの観察と提案である。この講演会は、後半の課題の対象地域である名古屋駅西エリアについての近年の動向把握を目的としたものであるが、この科目の履修者以外にも広く案内し、また新型コロナウイルス対策としてZOOMによるオンラインセミナーの形で開催した。参加者は計30名であった。
名古屋駅西エリアは、戦災から逃れ古いまちなみが多く残っている地域である。また、一方でリニア中央新幹線開業に向けてリニア駅の計画と駅前広場の再開発計画が進んでおり、一気にまちが変化する地域である。伊藤孝紀氏はこのエリアの概要?動向について、名古屋駅と周辺の街並みの歴史的変遷、デザインアーキテクトを勝ち取った選考プロポーザルにおける名古屋駅西口計画に込めた思い、およびプロポーザル後のまちづくり協議会等の具体的な取り組みなどを、わかりやすくかつ熱く語った。
話を伺う前は演習科目の課題対象地域にのみ目が行っていたが、講演を通して、対象エリアの核となりうる地域資源を知ると共に、名古屋駅周辺の他エリアとの比較の中で当該エリアの特長づけを行うこと、および建築だけではなく道も含めてまちを捉えることの重要性を感じ取った。(建築学科 高井宏之)

オンラインセミナーの様子

昔の名古屋駅周辺の様子

新しい名古屋駅の地下の断面図

[アジア建築史]木谷建太氏による特別講義

2021/01/13

特別講師 木谷建太氏(早稲田大学理工学術院総合研究所 次席研究員)
開催日時 2020年12月18日(金) 2限(10:50–12:20)
場  所 共通講義棟東602

理工学部建築学科の科目「アジア建築史」の一環として、ベトナム建築の専門家である木谷建太氏を招き、『ベトナム建築巡礼』と題し講義をしていただいた。講義には、同科目の履修者の他、受講希望学生も参加した。なお、新型コロナ感染症対策のため履修生以外の聴講希望者は事前予約制とし、適切な人数で実施した。

木谷氏は、ベトナム建築、特に寸法体系や造営尺度、木造架構などその独自性について研究を行っている。現地に長期滞在しての調査研究の経験もあり、周辺地域も含めた幅広い知識を持っている。今回の講義では、こうした木谷氏の調査?研究をもとに、ベトナム建築史の大きな流れと、多様な文化?文明の交錯?受容の中で建築文化がはぐくまれた様子を、豊富な画像、映像資料をもとにお話し頂いた。

学生にとってはあまりなじみのない国の建物を扱っているが、現地でそれをつぶさに見てきた木谷氏が的確な写真とともに話されることで、現実感を感じながら理解することができた。また、木谷氏が中心的に研究している阮朝時代(1802-1945)については、当時の文献資料を使いながらの説明、建物の設計方法について、建物を使った儀式の当時の映像と多様な資料を展開しての内容は、さすが専門家というものであり、楽しく受講できたのではないだろうか。

講義では、少数民族の住宅、チャンパの遺跡、阮朝の王宮と都市、植民地時代建築と多様な時代?種別の建物を紹介して頂き、ベトナム文化の特徴とも言うべき多様性を的確に示して頂いた。短い時間ではあったが、一国の建築の歴史を概観しつつ、重要な点、興味深い点はしっかりと押さえて行くという、まさに「建築巡礼」のタイトルにふさわしい、ボリュームたっぷりで満足度の高い内容であった。

これまでの授業で扱った中国やインドの建築と文化がどのように影響を及ぼしているのかも分かりやすく説明があったので良い復習にもなり、アジア全体の建築への理解が深まる講義となった。

木谷氏による講義風景

分散型ホテルの事例の紹介

2021/02/02

平山優貴氏(みのまちや株式会社)
(開催日:2021年1月13日)

建築学科2年生の講義「建築計画II」の第15回に同氏をお招きし、標記の特別講義を実施した。ただ、当日はCOVID-19の感染状況を配慮し、遠隔講義(オンデマンド)に急遽切り替えた。
この科目は、前半は集合住宅、後半は住宅以外の各種建築(商業施設、宿泊施設など)について、計画手法やその社会背景?動向を解説する。今回は、宿泊施設の近年の新しい取り組みである分散型ホテルに着目し、その先進事例である「NIPPONIA美濃商家町」の事例を、企画?運営の立場から紹介していただいた。
美濃市の市街地は重要伝統的建造物群保存地区に指定され、江戸時代からの「うだつの上がる町並み」がよく保存されている。しかし、近年空き家が目立つようになり、この空き家活用や町並みの保存の一環として、2019年7月に分散型ホテルが開業された。ホテルとしての客室は町に分散する古民家(屋敷)を改修したもので、運営は地元の方々による。宿泊客は伝統的建築と都市の空間に身を置くとともに、町の文化?生活?時間を堪能できる。これからの宿泊とは何か、観光と何かを示す価値ある取り組みと実感した。(建築学科 高井宏之)

美濃市のまち並み

宿泊棟(古民家活用)

熱弁をふるう平山氏

宿泊棟(古民家)の分布(プレゼンPPTより)

宿泊棟の内観(プレゼンPPTより)

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