大学概要【2022年度実施分】寒冷地建築物の住環境改善と地域特徴の顕在化

理工学部

寒冷地建築物の住環境改善と地域特徴の顕在化
実施責任者:佐藤 布武

本プロジェクトでは、寒冷地特有の景観の美しさや効果などをリサーチによって取りまとめること、寒冷地の住環境改善手法を探究することを目的としている。
寒冷地特有の景観の美しさや暮らしの知見を収集するとともに、寒冷地ならではの課題を解決するデザインの探究を行う。具体的には、住民参加型WSの開催や、住宅の改修デザインなどを行う。

ACTIVITY

レンガ積み上げ式セルフビルド薪ストーブ「メイスンリーヒーター」の設計①

2022/12/26

本事業では、雪国の住環境改善に向けた実験をしています。今年は、レンガを積み上げて薪ストーブをセルフビルドする「メイスンリーヒーター」の施工に向け、ストーブの設計をしています。
 
普通の薪ストーブは高額になってしまいますが、このメイスンリーヒーターなら、価格は約1/4。レンガに蓄熱させてその熱をゆっくりと放射する方式のため、薪ストーブよりも少ない薪の量で長く温まることができるのが特徴。
 
そもそも、寒い地域には様々な暖房方法が存在しています。韓国では、床下に熱風を通すことで床全体を温める「オンドル」、ロシアではレンガを温めた「ペチカ」があります。今回は、これらの良さを十分に勉強し、ペチカのような放射式薪ストーブの製作を決めました。さらに、レンガの積み方を工夫することで、将来的にオンドルもできるような設計にしています。
 
レンガを積むのはできるのですが、最後に、その蓋の部分を作るのはどうしても金物になってしまいます。そこで、「岐阜工業」さんに金物製作を依頼。担当の学生は設計図片手に会社にて担当の方と打ち合わせをしました。

メイスンリーヒータの模型

学生と業者の打ち合わせ風景

工場の様子

レンガ積み上げ式セルフビルド薪ストーブ「メイスンリーヒーター」の設計②

2022/12/26

本事業では、雪国の住環境改善に向けた実験をしています。
今回は、11月に実施した新潟での自主施工の様子を報告します。

作ったものは以下です。
?セルフビルド型レンガの薪ストーブ「メイスンリーヒーター」
?キッチンカウンター

製作を開始する前に実施するのが、「解体」です。
この作業で、実に作業工程の半分を超える時間を費やすこともあります。
適当に解体すると後が大変…。
釘を抜くと資源として再利用できるけど、抜かないと産業廃棄物として捨てざるをえません。
釘の抜き方一つから、学生にとっては勉強です。

解体作業に平行して、注文しておいた各種部材を受け取ります。
下準備をした上で、いざ、施工。
と、なっても、現場では様々な予定変更が…。
周到に準備してきた図面なども随時変更に迫られます。即断即決で進めていかない短期施工は、学生には少々忙しない…。それでも頑張って施工してきました。
机上の空論とは全く違う施工、できたこともできなかったこともありましたが、それも学び。
懐の深い現地協力者であるお施主さんに感謝です。
 
次回はいよいよ施工。

解体の様子。地元の方の手助けも。

施工風景

出来上がったメイスンリーヒーター

山形での寒冷地の知恵を学ぶ茅壁ワークショップ

2022/12/26

本事業では、雪国の住環境改善に向けた伝統的な知見の調査をしています。
今回は、11月に実施した山形での茅壁ワークショップの様子を報告します。
 
飯豊町は、広大な盆地の中に農家が点在する「散居」といわれる伝統的な居住形態の地域です。
冬の強い季節風や吹雪に対応するため、母屋北西部に屋敷林をもうけ、屋敷林の樹間には「カザライ」と呼ばれる雪避けが設置されます。
このカザライ、元々は、茅が使われていたのです。
秋に刈った茅を雪囲いとして使い、冬の間に乾燥させる。
春になると茅はよく乾いた状態になっており、その年の茅葺き屋根の材料として使われる。
そして、古い茅は堆肥になり農家の養分となる。
 
こんな循環が存在していましたが、茅葺き屋根の民家が激減した現代では、このカザライを継承しているのも3軒のみです。
今回のワークショップでは、このカザライを今も継承している世帯に講師になっていただき、一般参加ワークショップにすることで、その技術を多くの人に教えていただきました。
 
その地で取れた茅を使い、稲藁でまとめ上げ、結ぶ。
地域の資源で風景が作られることに驚くとともに、
学生にとってはみたことも聞いたことない、貴重な経験になったようです。
 
このような、地域ならではの景観を考えるワークショップは、今年度3月にも実施予定です。

会場説明の様子

現地にて説明を受ける

参加者がカヤを壁にまとめる様子

出来上がったカヤのカザライ

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