大学概要【2023年度実施分】共通教材を活用した医療?福祉系大学協働による多職種連携教育の実践

薬学部

共通教材を活用した医療?福祉系大学協働による多職種連携教育の実践
実施責任者:亀井 浩行

学生が主体となって、地域の医療?福祉系大学との連携による大規模なプロジェクトベースの教育プログラムを実践します。本取り組みでは、多種の学部?学科の医療系学生が垣根を越え、グループワークを介して「学びのコミュニティ」を構築することを目的としています。質の高いグループワークをより円滑に行うためには、各学科に共通する教材を充実させ、各々の専門職の役割を理解しやすい教材や地域医療で抱えている課題の基盤となる情報を容易に共有できる共通教材を構築し、これを実践的に活用する必要があります。今回は、専門職の役割を理解しやすい教材等を構築します。

ACTIVITY

活動報告1: 藤田医科大学での多職種連携教育が始まりました!

2023/06/08

昨年に引き続きまして、藤田医科大学での多職種連携教育「アセンブリⅢ2023」がオンラインでの開催となりました。第1日目が6月7日に開催され、本学の薬学4年生全員(251名)が6月7日、16日、23日の3日間にわたり、このカリキュラムに本学のカリキュラムである名城IPE③として参加します。今年も本学の学生が、藤田医科大学の医学生、看護学生、リハビリテーション学科生、臨床検査学科生、放射線学科生、日本福祉大学社会福祉学科生、愛知学院大学歯学部及び心身科学部との混成チーム(5~6名で1チーム)をつくり、チーム基盤型学習(TBL)という形態で、昨年に引き続き「患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の課題に取り組みます。参加学生は昨年よりも多く総勢1,023名と、世界的にも大規模な多職種連携教育のプログラムとなりました。主催者である藤田医科大学の教職員の皆様方には多大なご尽力に深謝申し上げます。本学の教員も20名が本プログラムの運営に携わりました。第1日目のプログラムでは、藤田医科大学で使用されているTeamsを使って、全学生がオンラインで多少トラブルもありましたがアクセスしました。最初は各チーム内でアイスブレイクとして、簡単な学部?学科?職種紹介、好きな授業?実習、特に苦手な授業?実習などの専門職ならではの自己紹介を行い、その後、班のルールづくり、役割(司会役、書記、タイムキーパーなど)分担決めの後、各自予習してきた内容の確認課題を解き(iRat)、その後、確認課題をチームで解く作業(tRat)を行いました(TBL:チーム基盤型学習)。さらに、予め提供された課題シナリオについて各自の意見(もしあなたが当事者やその夫だったら?当事者が白血病かもしれないと分かったらどんな気持ちになると思いますか?など)をチーム内で共有しました。その後、各3チーム内で討論し、各チームが発表し合った。その後、2日目の課題について各自予習してくる内容についてチーム内で話し合い、1日目は終了となりました。参加した学生は、「がん(白血病)かもしれないと言われたときにどのような心情になるか。」、「がんを患うことの不安を抱える人にどのように接するか。」、「専門職として何ができるか。」などの患者側の立場にたった意見を交わし、次回のアセンブリに向けて意欲的な意見が多く聞かれました。今年も本学の学生が不慣れなオンラインシステムに奮闘しながら、無事1日目を終えることができました。

1,000人を超える学生のオンラインによる多職種連携教育の拠点となっている藤田医科大学にて大学を代表してあいさつする筆者(左から3人目)

薬学生を含めた混成チームの学生たちが画面越しに自己紹介している様子

薬学生を含めた混成チームの学生たちが画面越しに課題シナリオについて討論し、討論内容を共通画面でまとめている様子

活動報告2: 藤田医科大学での2日目の多職種連携教育が行われました!

2023/06/17

 藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2023: 患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の2日目(6月16日)が行われました。2日目は、アイスブレイク後、各自予習してきた内容の確認課題を解き(iRat)、確認課題をチームで解く作業(tRat)を行い(TBL:チーム基盤型学習)、その後、提供された2日目の課題シナリオについて、応用課題3として、①「治療を始める前、当事者にはどんな思いや不安があったでしょうか?」、②「治療が始まって、当事者の思いや不安に変化はあったでしょうか?」、③「もしあなたが当事者なら、仕事に戻ってもよいと主治医から言われたら、どうしますか?その時、どんな気持ちになり、どんなことを考えると思いますか?」、④「当事者のために、どのような支援があるといいと思いますか?」について、各チーム内で討論し、1日目と同様に各3チーム内で討論し、各チームが発表し合いました。ファシリテートを担当したグループの学生からは、「病気と闘いながら、今まで通りに働くのは周囲の人に迷惑をかけてしまうのではないかという不安な気持ちが強いのでは」、「当事者への支援策として、仕事に少しずつ復帰できるような制度や子育て支援、病気についての不安などを聞いてもらえる支援団体や患者会の紹介システムなどが必要ではないか」などの当事者に寄り添う意見が聞かれました。その後、実際の類似の疾患を患っている患者さんへのインタビュー(音声のみ)を参加学生が共有しました。この当事者インタビューの視聴後、さらに応用課題3の各課題についてより深い討論が行われました。その後、応用課題4として、「当事者や家族、周囲の人たちに自分(薬学生であれば薬剤師として)は何ができるかを考えてみよう」について各チーム内で討論し、3日目に行われるグループ発表に向けて意欲的にチーム内で話し合い、2日目は終了となりました。この2日目では、特に治療中の患者さんの不安な気持ちを理解しようとする学生の姿勢が窺われ、次回のグループ発表が大いに期待されます。

グループ討議に真剣に取り組む学生たち

グループ討議に真剣に取り組む学生たち

活動報告3: 藤田医科大学での多職種連携教育の3日目(最終日)が行われました!

2023/06/23

 藤田医科大学での多職種連携教育の一環として、「アセンブリⅢ2023 患者のどう生きたいかという願いに思いをめぐらせ、患者の願いにどう寄り添うかを考える」の最終日3日目(6月23日)が行われました。2日目に模擬事例としてグループ討議された当事者が白血病の治療を始めたことや実際の類似の疾患を患っている患者さんへのインタビューの視聴(音声のみ)を受けて、応用課題4として、①自分の目指す職種について考える(新たに気づいたことは?他職種へのセールスポイントは?)」、②「自職種では難しそうでも当事者にとって大切だと思うことは?(各職種について考えてみましょう)」について討議し、1チームあたり8分発表(質疑5分)を行い、3チームで45分の発表?討論を行いました。質疑では他のグループからも質問があり、充実したグループ間での討議ができました。参加した薬学生からは、「薬のプロフェッショナルとして、薬物治療の面からのサポートや病状や悩みの相談役といった精神的なサポートも行える、副作用の対応の仕方などで少しでも患者の不安を取り除ける、患者にとって身近な存在でありたい。」、「当事者の仕事の復帰や、仕事を生きがいにしている強い思いを大切にし、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどと協働して、当事者の暮らしの視点を理解し、安心して治療できる環境を提供できるような人材になりたい」、「色々な学科からの学生がいるため、さまざまな視点で当事者の問題に気づき、積極的に取り組むことができた」などの意見が聞かれ、本プログラムの教育目標に沿った成果が得られていることが確認できました。今回もオンラインでの参加となりましたが、次年度は学生の多くが希望しているように、互いに顔を突き合わせた対面での授業になりますことを願っています。
 今回、総勢1,023名の学生が171チームに分かれ、今後の日本の重要課題のひとつであるがん患者のQOL(生活の質)について考え、どのように支援していくかについて討議を行いました。本プログラムの学生目標として掲げられた、「将来の専門職連携?協働を目指して、多分野の学生間で討議できる」こと、「患者中心の視点を持ち、患者とそのご家族のために何ができるかを思考し、提案できる」ことが達成できたものと思われます。各分野の学生たちが真剣に意見を出し合い、非常に有益な成果をあげることができたと強く感じました。また、今回も、本学からは20名の教員が本プログラムの運営に携わり、教員間の単なる交流ではなく、本プログラムの準備から共に創り上げる教育をお互いの立場で学ぶことができ、教員にとっても非常に有意義な3日間となりました。
 今後、今回参加した1,023名もの医療介護?福祉の専門分野の学生たちがそれぞれの専門職に就いた時、この学科の枠を超えたチームが協働して医療に貢献されることを切望します。最後になりましたが、今回も、大发体育官网_澳门游戏网站から薬学生4年生全員が一人の欠格者もなく、藤田医科大学での多職種連携教育(アセンブリⅢ)に参加できましたこと、また、このような機会を与えていただきました大槻アセンブリセンター長、中村副センター長をはじめ多大なご尽力いただきました藤田医科大学の教職員の皆様方に心より感謝申し上げたいと思います。

最終日のグループ発表の準備に取り組む学生たち

最終日のグループ発表の資料作りに取り組む学生たち

最終日のプログラムを終えて、集合写真に収まるスタッフの教員(前列中央:大槻アセンブリセンター長、前列左から2番目:中村副センター長、前列左端:筆者)

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