大学概要【2020年度実施分】地域のまちづくり活動-宿泊施設を活用した地域まちづくり

理工学部

地域のまちづくり活動-宿泊施設を活用した地域まちづくり
実施責任者:高井 宏之

 近年新たな宿泊施設の業態として需要が拡大しつつある「宿泊施設型ゲストハウス」を中心に、わが国が直面する空き家活用?地域活性化の手段、インバウンド(訪日外国人旅行客)等の受け皿としての可能性を追求する実践的な取り組みであり、行政や住民とのワークショップによりこれからに向けた提案を行う。
 なお、本事業は新規であるが、過去4年間実施した事業の第2ステップであり、「民泊」「分散型ホテル」など新たに登場したタイプの情報収集も行いながら進めていく。

ACTIVITY

「道の駅併設型の宿泊施設」の訪問調査

2021/01/18

フェアフィールド バイ マリオット 岐阜美濃(岐阜県美濃市大字曽代字城下) 2020年11月19日訪問

1)岐阜県美濃市と「道の駅美濃にわか茶屋」
?岐阜県中濃地方の中央に位置する市で、江戸時代から美濃和紙の産地として有名である。
?その北部の幹線道路沿いに開業13年の「道の駅美濃にわか茶屋」がある。
?この近くには、林業の他、環境教育、木造建築、木工など、森林、木材に関わる分野を学ぶ専修学校である、岐阜県立森林文化アカデミーがある。

「道の駅美濃にわか茶屋」外観(ことりっぷHP)

レストラン部分

地域住民の生活に貢献「道の駅?雑貨売場」

同「道の駅?野菜売場」

2)フェアフィールド バイ マリオットの概要
?フェアフィールド バイ マリオットは、積水ハウスとマリオット?インターナショナルの共同事業で、「道の駅」の隣接地にホテルを建設?運営し計画され、2025年までに25道府県で計3千室を展開する方針である。(2020年10月時点)
?大手競合他社はホテル事業を行う中で、積水ハウスにとって初めてのホテル事業である。

3)フェアフィールド バイ マリオット 岐阜美濃の概要
〇立地
?「道の駅美濃にわか茶屋」に隣接し計画されている。
?路線バス停もすぐ目の前にある。
〇客室
?客室数は54室(ダブル19室?25㎡、ツイン35室?25㎡)。
?片廊下型を主体とし、客室のほとんどが川に面する。
?床材はフローリング。水回りは洗面と浴室を分離し、洗面は客室と一体化し広さ感を演出。浴室はシャワー形式。従来型のホテルとは一線を画した設計である。
〇共用部分
?フロント、ロビーライブラリー、ロビーキッチン、コインランドリー(有料)がある。
?車による長旅の疲れを癒すべく、ロビーはリラックスできる空間である。
?レストランはなく、隣接する道の駅のレストランと連携する形態である。

ホテル外観(楽天トラベルHPより)

ロビーライブラリー

ロビーキッチン

客室部分

地方都市の分散型ホテルの訪問調査

2021/02/02

NIPPONIA美濃商家町(岐阜県美濃市本住町) 2020年11月20日訪問

1)岐阜県美濃市とNIPPONIA美濃商家町
?岐阜県中濃地方の中央に位置する市で、江戸時代から美濃和紙の産地として有名である。
?この町並みは重要伝統的建造物群保存地区に指定され、江戸時代からの「うだつの上がる町並み」がよく保存されている。しかし、近年空き家が目立つようになり、この空き家活用や町並みの保存の一環として、2019年7月に分散型ホテルが開業された。

美濃市のまち並み

宿泊棟(古民家活用)

2)施設概要
?建築:古民家6棟(計客室10室)が町全体に分散。できるだけ既存建物を生かすという発想で改修されている。
?改修手法:耐震補強、エアコン、スプリンクラーなど、昔なかった設備機器を実に違和感なく納めている。手を入れる場合は、和紙を貼るなど地域の伝統工芸品を利用する。
?サービス:上記うちの1棟に、レセプション(チェックイン?アウト等)があり、朝食は各棟の部屋で提供される。夕食は町の飲食店で楽しむ形。
?イベント:時々客室を使いイベントを開催。地域の人にも親しんでもらうため。
?運営体制:多くが美濃市在住のスタッフがローテーションで組む地域運営型。スタッフは、建物自体が地域の誇りであり、「歴史的な建物を守っている」という意識を持って働いている。
?体験プログラム:美濃紙を中心とした町の文化?技術、食などのメニューが町と協力し用意されており、宿泊者は生活?時間を堪能できる。

レセプションと宿泊室のある中核棟

濃紙ギャラリーを兼ねたレセプションホール

宿泊棟(3室あり)の共用エントランス

客室(私は泊まって大臣気分になった)

3)着目点
?客室である古民家が町全体に分散しており、宿泊客はまちを歩く。運営スタッフもほとんど地元の人。まさに地域に溶け込むように泊まる。
?これからの宿泊とは何か、観光と何かを示す価値ある取り組みと感じた。

古民家を活用したシェアオフィス&ゲストハウス「長屋オフィス」の取り組み

2021/02/04

2020年12月7日 平山優貴氏(みのまちや株式会社)

0)経緯
本活動では、近年の宿泊施設の新しい取組として、ゲストハウス、民泊、分散型ホテルへと対象を拡げてきた。この中でわかってきたことは、宿泊施設単独に加え、宿泊以外の機能(カフェ?銭湯など)と連携しながらの複合的経営、まちレベルに機能を拡げるまちづくり的経営といった新たな展開があることだ。
後者の一つが分散型ホテルであり、これまでいくつか情報収集し本ホームページでその成果を紹介した。この中で去る11月20日にNIPPONIA美濃商家町(岐阜県美濃市)について報告したが、この取り組み主体である「みのまちや株式会社」が、標記の取り組みを企画しており情報収集を行った。

1)岐阜県美濃市と分散型ホテルの取り組み
?美濃市は美濃和紙の産地として有名であり、この町並みは重要伝統的建造物群保存地区に指定され、江戸時代からの「うだつの上がる町並み」がよく保存されている。
?ただ、近年空き家が散見されるようになり、この町並みの保存の一環として、2019年7月に分散型ホテル?NIPPONIA美濃商家町が開業された。

美濃市のまち並み

レセプションと宿泊室ある棟(古民家活用)

2)「長屋オフィス」の企画
?サテライトオフィス、シェアオフィス、ゲストハウスが計画されている。
?地域のまちづくり会社が運営予定であり、トークイベントショーなどを定期開催し、地方創生で活躍するプレイヤーとの交流?学びの機会の提供を目指している。
?利用者にとっては、感染リスクの少ない環境の中で、美濃のまちに溶け込みながら働く時間を得ることができる。

動線を大切にした長屋オフィスの平面

3)着目点
?シェアオフィスは大都市に見られるようになった近年の取り組みであり、コロナ禍における働き方改革の中で生まれたワーケーションも着目されてきた。
?この取り組みはこれら2つの取り組みの延長線上に位置づけることができ、地方都市におけるまちづくりや空き家問題解消のコンテンツとして、分散型ホテルとのシナジー効果が期待できる。

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